MATCHA DEEP DIVE

私の抹茶愛と深遠なる世界
静寂と旨味、そして歴史が織りなす一杯の奥深さ。

最初の感動と静寂への渇望

私の抹茶との初めての出会い。
一口目の鮮烈な苦味の後に広がる、深い甘みと青海苔のような香りに心を奪われました。それは単なる飲み物ではなく、「一杯の静寂」
この心を整える瞑想的な時間にこそ、現代を生きる私たちが求める豊かさがあると感じています。

茶禅一味」— お茶と禅の道は一つ。この一服が、日常の雑念を払い、私を「今、ここ」に連れ戻してくれます。

深遠なる抹茶のルーツ
知識としての抹茶

栽培の秘密:遮光の魔法

収穫前の約一ヶ月、日光を遮る「覆い下栽培」を行うことで、旨味成分テアニンの分解を防ぎ、渋味成分カテキンの生成を抑えます。この一手間が、抹茶特有の深い旨みを生み出します。

価値の源泉:碾茶と石臼挽き

抹茶の原料は、蒸して乾燥させた「碾茶」。これを石臼で丁寧に挽くことで初めて抹茶となります。石臼一基で1時間数十グラムという、この手間暇こそが抹茶の価値を支えています。

歴史:禅と侘び寂び

抹茶の歴史は、栄西禅師が中国から茶種を持ち帰ったことに始まります。その後、千利休によって「侘び・寂び」の精神が加えられ、武士や文化人のたしなみとして、日本の美意識の根幹を築きました。

道具へのこだわり
~私の三種の神器~

  • 茶碗 (Chawan):季節や手のひらに合うものを選ぶのが流儀。特に手に馴染む作家の作品を愛用しています。
  • 茶筅 (Chasen):穂の数(100本立推奨)がポイント。力強く、きめ細かな泡立ちを生む竹の魔術師です。
  • 茶杓 (Chashaku): お気に入りの茶杓には「銘(めい)」をつけ、愛着を持って使用。物語のある道具は一服をさらに深くします。

失敗しない「美味しい一服」のポイント

水温の重要性

80℃前後がベスト。熱すぎると渋味が強く出すぎるため、沸騰したお湯を少し冷ますのが究極の技。

ダマを防ぐ「下練り」

抹茶を少量の水(10cc程度)で最初にペースト状に練る。このひと手間で、驚くほど滑らかな口当たりに。

「Wの字」で素早く

茶筅は「の」の字ではなく、茶碗の底をこすらないよう細かく素早く「Wの字」に振ることで、キメの細かい泡を立てます。

抹茶の奥義

抹茶の格付け 濃茶と薄茶の違い

濃茶用(Ceremonial Grade)
最上級の抹茶。苦味が極めて少なく、旨味が凝縮されています。主に茶事などで練っていただきます。単独の品種ではなく、ブレンドの技術が光ります。

薄茶用(Usucha Grade)

私たちが普段泡立てて飲む抹茶。濃茶用には及ばないものの、茶筅で泡立てた時の爽やかな香りと苦味のバランスが絶妙です。

科学的な恩恵
テアニンとカテキンの相乗効果

テアニン(旨味成分)
リラックス効果(脳のα波を誘発)と、カフェインによる興奮作用を穏やかにする効果があります。これが「落着き」をもたらす秘訣です。

カテキン(抗酸化作用)

強力な抗酸化作用を持つEGCGが豊富。抹茶は茶葉を丸ごと飲むため、煎茶よりも効率的にこれらの成分を摂取できます。

日常に、究極の一服を。

抹茶は、古来より受け継がれてきた日本の美意識の結晶です。しかし、堅苦しい作法だけが全てではありません。時には静かに一服を点てる「究極の時間」を、また時には抹茶ラテやスイーツとしてカジュアルに楽しむ「自由な時間」を。

あなたの生活に、この鮮やかな緑と深い静寂を取り入れてみませんか?

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